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潰瘍性大腸炎とは？
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じる病気で、代表的な炎症性腸疾患（IBD）の一つです。炎症は大腸内に限られるものの広い範囲に生じるのが特徴で、症状が活発になる活動期と、症状が落ち着く寛解期を繰り返します。
10～20代の若年層に多く発症し、患者さんの生活の質に大きな影響を与える可能性があります。難病に指定されている病気の一つであり、長期的な管理が必要となることが多いですが、適切な治療により症状のコントロールは十分に可能です。
潰瘍性大腸炎の症状
潰瘍性大腸炎の主な症状には以下のようなものがあります。症状の程度は、病気の活動性や炎症の範囲によって異なります。軽症の場合は血便のみで他の症状がほとんどないこともありますが、重症の場合は頻回の下痢や激しい腹痛、高熱などが現れることがあります。また、腸管外症状として関節痛や皮膚症状、眼症状が現れることもあります。
- 便に血が混じる（鮮血便）
- 下痢
- 腹痛
- 発熱
- 体重減少
- 疲労感
- 貧血
- 急な体重減少 など
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。原因不明な要素が多く、他の消化器疾患と似た症状が引き起こされるため、受診のタイミングによっては適切な診断が難しいケースがあり、過敏性腸症候群（IBS）などと診断されてしまうこともあります。
- 遺伝的要因：特定の遺伝子変異
- 免疫系の異常：自己免疫反応が腸管粘膜を攻撃する
- 環境因子：食生活の変化、ストレス、喫煙など
- 腸内細菌叢の乱れ：有害菌の増加や善玉菌の減少 など
潰瘍性大腸炎の検査
潰瘍性大腸炎の診断には以下の検査を用います。特に大腸カメラは、潰瘍性大腸炎の確定診断には極めて重要です。過敏性腸症候群（IBS）と診断されて治療を続けても、一向に下痢や血便などが改善しない場合は、一度当院へご相談ください。
大腸内視鏡検査
内視鏡を用いて大腸の粘膜の状態を直接観察します。他の消化器疾患との鑑別にも有効なので、潰瘍性大腸炎の診断において必須の検査と言えます。
血液検査
炎症の程度や貧血の有無、栄養状態を確認します。
便検査
潜血便の有無や、感染症の除外のために行います。
X線（レントゲン）検査
潰瘍性大腸炎に伴う腸の穿孔（穴が開いていること）や閉塞などの合併症を発見します。
消化管造影検査（注腸造影）
バリウムを用いて大腸の形状や、病変の範囲を評価します。
潰瘍性大腸炎の治療
現時点では潰瘍性大腸炎の根治的な治療法はないため、治療では症状の改善と寛解の維持を目的とします。完治が難しいとはいえ、適切な管理により症状をコントロールし、良好な生活の質を維持することは、十分に可能です。
薬物療法
様々な内服薬、注腸製剤を用いた対症療法を行い、寛解期をできるだけ長く維持できるようにします。
- アミノサリチル酸製剤：軽症から中等症に対する基本的な治療薬で、粘膜の炎症を抑制
- 免疫調節薬：腸内の免疫異常を調整して炎症を抑制
- ステロイド：粘膜の炎症を抑制（中等症から重症の場合に使用）
- 生物学的製剤：ステロイド依存例や難治例など、上記の治療で効果が不十分な場合に使用 など
血球成分除去療法
血液透析に似た治療で、静脈から血液を抜き取り、免疫異常を起こした細胞を除去した後、体内に戻します。中等症から重症の場合に検討します。
外科治療（手術）
内科的治療で改善しない場合や、大量下血や穿孔を伴う重症例の場合に検討します。